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理事は見返りがないことを不満に思うほどやり過ぎない

管理組合の役員報酬の問題は人の価値観がよく表れるところです。 すごくがんばっていると自負している理事さんがふと思う 「これだけやったんだから金銭的にも報われてもいいじゃないか」 という考え方は、一見説得力があるようで、かなり危険な考え方だと思います。 最近、2つとても残念な話を聞きました。 自分のマンションだけでなく幅広く活動していた方に関する話です。 業者やコンサルからのバックリベートの問題で、信用を無くしたり、管理組合と訴訟になったり…。 まわりにも波紋を投げかけますが、 本人にとってもこれまでの行為を帳消しにしてしまうことです。 どちらも、行動力があって自信に満ちた方なので、びっくりしましたが、 実は、少しやり過ぎでは…というハラハラ感があったのも事実です。 どこかで、管理組合のため(みんなのため)というより 自分自身の達成感や評価を求める気持ちが強くなり過ぎていないか… というハラハラ感です。 最初は自分のマンションをよくしようと思って始めたことが、 評価がほしくなり、だんだん外へ出ていくようになる。 外からのマンションへの評価が、自分への評価だと思うようになる。 しかし、意外に自分のマンションの人は、それを評価しない。 自分への感謝の言葉も、もちろんそれに見合う報酬もない。 管理組合に対して、 自分がいなかったらこんなに見事な運営はできなかったんだから、 その分、自分に見返りがあってもいいのではと不満に思うようになる。 そのうち、自分のお蔭で仕事が行くんだよ…と発注先に言いたくなる。 で、管理組合に対しては、こんなに貢献しているのだから、

少しぐらいもらってもいいはず…と思ってしまう。 でも、それをやってはいけないことぐらい、本当は本人が一番分かっているはずなのに…。 実際に、管理組合運営はその時の理事の頑張りによるところが大きいのです。 大規模修繕工事や管理会社のリプレイスに関して 自分ががんばったからここまで経費削減できた。 自分の専門的意識で仕様書を作れたから、コンサルタントの費用が浮いた。 今こんなに金利を受け取れるのは その時、普通預金に入れっぱなしの修繕積立金をスマイル債にするよう 自分が働きかけたからだ。 管理組合活動をしていれば、 具体的に金銭価値に結び付きつく成果がある方が、たくさんいます。 それが評価されないという不満をもつ人がいるのもわからない訳ではありません。 でも、大多数の理事さんは、 「自分ががんばったから年間〇〇万円も節減できたんだ~」 とか、お酒の席で友人に言うぐらいで、実際に見返りを求めようなんて思わないのです。 自分のマンションのことなんですから。 そして、自分が属しているコミュニティに貢献できたということに喜びを見いだせているからです。 貢献できたという満足感で済まずに、金銭的な報いがあってもいいはずだという思いは 簡単に背任行為に結び付いてしまう危険があります。 管理組合に対して、正面から無報酬はおかしいと主張するというのは、 話がシンプルですが… たいていは、管理組合に見返りを請求はできないことは、ご本人が一番よくわかっていますから… で、その分、別の形で金銭的な見返りがあってもいい…と思ってしまう。 それは、ほんとうに残念なことです。 他者貢献という徳を積めるはずが、 自分の属する集団への裏切りという大きな負を背負うことになるのです。 ですから、 「こんなにやっているのに金銭的に報われないのはおかしい」 と思う気持ちが出てきたら、 それ以上やり過ぎないことです。 誰のためにもなりません。 そんなことを言ったって、自分ほど仕事ができる理事はいないんだから…と思うのは、 エゴでしかないと思います。 金銭的な報酬に直接つながらない活動をするときは、

私もとても気をつけて、自分に問いかけています。 やるんだったら自分の意志でやる。 自分が貢献したくてやっているんだと思ってやる。 そう思えないことはやらない。 (で、断れなかったことも自己責任です、笑) アドラーじゃないですが、 やる、やらないの選択の自由はいつも自分にあるのですから。


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