住民が力を合わせずして勝てるほど売主もゼネコンも甘くない


標準管理規約改正のパブリックコメントの最中です。 やはり、一番の話題は、コミュニティ条項に関することです。 この件については、過去記事で何度も書いてきましたので、 あえて書きませんが、 居住者が親しく話をする機会があり、 ゆるやかな仲間意識が育っているということは、 相互理解によるトラブル防止や 防災、防犯、合意形成等に重要なのは言うまでもなく 管理の本丸である「資産価値を守る」という意味においても 実は非常に重要だということをしっかり書いておきたいと思います。 今、杭の施工不良による傾いたマンション問題でゆれています。 マンションは、厳しい予算と工期の中で造られるので、 残念ながら、瑕疵(不具合箇所)が溢れているのはむしろ当たり前です。 アフターサービス契約として 当たり前に不具合個所の修理を売主に請求できるのは、 ほとんどが引渡し後2年です。 そして、 構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について 瑕疵担保責任を追及できるのは10年です。 この2年、10年という期限までにどこまでしっかり修補請求ができるかが マンションの資産価値に大きく影響するのです。 専有部分のアフターサービスについては、各個人が点検票に不具合箇所を書き込んで提出し、 ゼネコン及びその下請と区分所有者が直接連絡を取りあって補修をするので、 その情報を、管理組合が把握することはありません。 そして、共用部分については、管理組合が点検して点検票に書き込んで 補修を請求することになりますが、バルコニー側等はなかなかチェックできません。 専有部分の点検票にかかれた情報の中には、 共用部分の瑕疵につながる重要な情報が含まれていることがあるのですが、 その情報を管理組合や他の区分所有者と共有できないために 適当に誤魔化されてしまうことがけっこうあります。 バルコニーからの漏水は、実は重大な施工ミスによる、全戸に共通する瑕疵だったのに、 各個人で処理していたため場当たり的な対応しかなく、 長期間根本的解決がされなかった…。 バルコニー側のクラックは、主要構造部の重要な瑕疵の表れだったのに、 専有部分の点検票に記載されていたため管理組合が把握できなかった…。 ある階、ある縦系列のみに集中して不具合箇所が発生したら、 まだ表面化していない住戸でも起こる可能性があるのだから、 総点検して修理すべきなのに、個別対応しかしていなかった…。 こんな話が溢れています。 相談を受ける中には、保証期間中に問題が発生していながら、 それが見逃されていて、期間を過ぎてからどうしよう…というものが 多々あります。 不具合箇所の修理に、素人が個人で対応していたら、 表面だけの修理でごまかされてしまうこともあります。 それを防ぐために重要なのが、 居住者が気軽に話ができる場で交わされる何気ない会話なんです。 特に入居から2年は、 不具合箇所をどれだけ補修させられるかの勝負です。 どれだけ情報が共有ができるかが重要で、 そのためには住民同士のコミュニケーションが欠かせません。 コミュニケーションの場があればあるほどいいのです。 懇親会の雑談で、 バルコニー側のタイルの浮きがあったという1人の話から、 建築に詳しい人が、浮きがあると音が違うんだと…と。 それを聞いた別の居住者が、自分のバルコニーを何気なくチェックしたら、 タイルの浮きを発見。 これはおかしいと理事会に伝えたことから、 タイルの総点検に繋げ、補修をさせることができたという話もあります。 懇親会での会話がなかったら、見逃されていたでしょう。 ママ友のおしゃべりで、キッズルームの床が固くて危ないよね…という会話が。 その中にちょうど理事の奥さんがいたことから、 キッズルームの床の仕様違いを発見できたということもあります。 専有部分についても、 どんな不具合があって、どこまで直させたか… そういう情報を居住者間で交換することが、 中途半端に丸め込まれないことにつながります。 10年の瑕疵担保期間中にどこまで修補請求するかということも、 居住者とのコミュニケーションの場があるかどうかがとても重要になります。 輪番制で理事になった人たちにすれば、 問題が発生しても、売主との交渉という、ものすごくエネルギーがいることを、 自分たちでやりきれるだろうかという不安があります。 管理会社からは、 もうすぐ大規模修繕工事なんだから、その時に直せばいいのでは… という甘いささやきもあります。 そんな時に、マンションの夏祭りで、今期の理事長と、理事経験者が顔を合わせた。 瑕疵問題が話題になり、ビールを飲みながら相談していたら、 ちょうど、ゼネコン勤務の居住者が来て、いろいろ話を聞けた。 いろいろな人と話ができ、 応援するから絶対にがんばってと背中を押さたことで、 理事長の迷いが消えて、本気で交渉を始めた… なんていう話はよくあります。 私のマンションでも、 タイルの落下事故から始まったタイルの浮き問題については、 懇親会での人の出会いと会話がとても大きな役割を果たしました。 役者がそろって、自分たちでの調査を元に、ゼネコンとタフな交渉ができ、 結局、大規模修繕工事のときに タイルの補修は瑕疵補修としてやらせることができました。 大規模修繕工事のための現場事務所と、 補修工事のためのゼネコンの現場事務所が並んでいたのが 象徴的でした。 居住者が力を合わせずして、 マンションの瑕疵をしっかり補修させられるほど、 売主もゼネコンもやさしくないです! 売主は、居住者に情報を共有され、 力を合わせられるのが一番やっかいだと思っています。 ですから、大きな瑕疵問題では、居住者の分断を図ります。 そして、合意形成ができない管理組合側に責任を転嫁することすらあります。 もし、標準管理規約が改正され 管理組合の業務からコミュニティ形成が消えようが、 飲食はダメだとかコメントに書かれようが、 居住者が心を許してコミュニケーションが取れる場をつくることに ブレーキを掛けないでくださいね。 それは、自分たちの「資産価値を守る力」を弱めるだけです。 話が弾み情報共有が進むなら、飲食もいいじゃないですか。 それによって得られる価値は計り知れません。

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