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電力の完全自由化を前にして


4月からの完全電力自由化(個人が好きな会社から電気を購入できる)に向けて、 各社の宣伝合戦が激しくなっています。 昨年8月13日のブログに、 「マンションの一括受電の電力の完全自由化」について書いたときは、 まだ、どんな商品が生まれるか読みにくかったのですが、 この5か月で大きく変わりました。 実は、4月の電力自由化までにマンションの一括受電の契約をまとめたいという 一括受電を扱う会社の営業が激しくなっているようで、 暮れにいくつか相談がありました。 今は各戸が既存の電力会社(関東なら東京電力)と契約しているので、 一括受電に切り替えるに当たって 各戸に東京電力との契約を解除してもらえばいいのですが、 (全戸の契約解除は、決して簡単なことではありませんが…) しかし完全自由化になって、各戸がばらばらに、 他のサービスとセットで電力購入の契約を結ぶようになると、 解約がより難しくなります。 それで、3月末までに何とか一括受電に切り替えたいという動きが、 これまで一括受電を検討してきた管理組合で起こっているのだと思います。 現時点では、やはり一括受電の方が電気料金の削減効果は大きいようですが、 以前にも書いたように、 10年~15年変更できないという縛りがあると、 本当に今の段階で切り替えていいのかどうか 迷うのも致し方ないと思います。 私が気になったのは、 総会の特別多数決議で一括受電に切り替えると急に決まったが、 個人的には、完全自由化を前にした今の段階で、 契約を切り変えたくないと承認の印を押さない人に対して、 一括受電の業者が、 「印を押さないと管理組合が裁判を起こしますよ。 裁判になったら、あなたが負けることは判例でも明らかで、 損害賠償を求められることにもなりかねないですよ。」 と脅すよう話をしているという相談が続いたことです。 何度も言っていますが、 こういう全員の承認が必要になるようなことは、 合意形成に時間を掛ける必要があります。 3月までに切り替えたいからと急いでも難しいのです。 ましてや、こんな脅しのような話をしたら拗れるばかりです。 一括受電の業者の言う判例というのは、 2010年11月29日の横浜地裁の判例を、都合の良いように解釈したか、 知識がないためにそう思い込んでいるかだと思います。 この裁判のケースでは、 老朽化した電気幹線の改修工事が保安上も必要で、 一括受電への切り替えと同時に実施するはずの工事が、 この一人の人の反対によって実施できなかったこと、 さらにこの人が、これまで管理組合が実施した専有部分が関係する改修工事を ことごとく拒否してきたこと、 総会や説明会にも出席せず、意見を述べることもなく、ただ契約段階で拒否していること、 等の事情から、裁判所が、 被告が他の住民と協力して住環境の保全と向上を図ることに 目を向けない姿勢は顕著で、 本工事を実施できないことは、 区分所有法第6条の「共同の利益に反する行為」と判断し、 第59条競売の適用を認めたというものです。 (詳細は、判決文や解説を当たってください。) この判決を、 「一括受電の総会決議があったのに、承認の印を押さないと、 管理組合が裁判を起こしますよ。あなたが負けますよ。」 というように、 短絡的な話にすり替えたり、 もしくは、そう誤解させるような話し方をしているとしたら、 それはやめてほしいと思います。 この裁判のケースは、度重なる非協力という特殊な事例で、 しかも一括受電に反対したこと=共同の利益に反する とされた訳ではありません。 業者は、仕事にならないとなったら管理組合とさよならですが、 管理組合の中の人間はずっと付き合っていかなければなりません。 大きな対立という禍根を残してまで、 急いでやろうとすることは、どうか避けてほしいと願います。 電力の完全自由化でどんな競争が始めるのか、見極めたいと思います。

 

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