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公平って何だろう

管理組合運営は組合員にとって「公平」じゃなければならない

「もちろんだ」と思われますか? 区分所有法にも、規約は「公衡」に定めなければならないってありますしね…

でも、この「公平」「公衡」がけっこうむずかしい… 国の施策だって、「公平」の考え方でもめるわけです。 分かりやすい議論では、「機会の平等」か「結果の平等」かという議論がいつもあります。 で、「公平」を言い過ぎると、全体の価値を損なうことになりかねません。 たとえば、震災後の物資の配布時に、希望者全員に平等に配布できるだけの量が確保できないから 不公平にならないよう、いっさい配布しないといって大騒ぎになったことも…。 マンションで、「公平」が議論されるのは、 管理費等の負担と役員の選任の場面が多いように思います。 複雑な建物構成の団地型マンションや超高層マンションで、管理費の負担を、

それぞれの利用部分の管理に係る費用から算定するのが「公平」だということで、 複雑な計算をし過ぎて、簡単には検証できなくなっているケースもあります。 そういうマンションでは、支出も、どの会計からどれだけ支出するか、 また細かい計算をして支出する訳です。 一見、合理的なようですが、建物や設備はつながっていますし、

共用施設の扱いや、全体の経費の案分や、厳密に受益者負担の考え方で割り振るのは、結局難しいのです。 でも、そこまで「厳密そう」に取り扱ったということで、「公平」だと納得してもらう… その効果はあるのかもしれませんが…。 その一方、そんな難しい計算は一切しないで、各戸が同じ負担をしているそんな団地もあります。 先日取材させていただいた団地は見事でした。 超高層棟も含む高さも規模も異なる建物が混在し、 共用施設も建物の一部に組み込まれていて、複雑な構成の団地です。 住戸の間取りもいろいろなバリエーションがあり、広さもかなり違いがあります。 ですが、完全な団地一括管理方式で管理しています。 なんと、管理費は全戸同じ額です。(専有面積割りじゃないんです) ほぼ同じ広さの住戸で、同じタイプの棟が集まっている団地では よくあることですが、 これだけ、違いがあるのに、同額というのはすごいな~と思いました。 修繕積立金は、全戸一律の部分と、各棟で面積割りの部分の両建てですが、 前者が団地共用部分の修繕に、各棟は各棟の修繕に使うというように 規定されているわけではありません。 どの会計からどれだけ支出するかは、その都度決めているとのことです。 思わず、 「今、負担割合も支出の区分も厳密な根拠を求める傾向がありますが、 そんな声はないんですか…」 と聞いちゃいました。 返ってきたのは… 「うちは、都市計画や街づくり、建築の専門家が多く入居していて、 当初から、「住民は同じ船に乗る仲間」という考え方が徹底しているんですよ。 超高層棟は防災センターを持って管理費用もかかりますが、 超高層棟が街のアクセントになり、 縦に高い超高層棟があることで、敷地にゆとりができ、 広い広場や駐車場のスペースが確保されているんです。 海風が直接当たる海側は鉄部のメンテナンスの頻度も高くなりますが、 その棟のお蔭で、内部の建物や、植栽が守られているんです。 その思想が徹底していて、団地全体の価値を高めるために 様々なことを実行してきましたから、 管理組合に対する信頼が厚いんです。 日常の管理費は、専有部分の面積が1部屋分違うからって、差をつける必要も ないでしょう。 1家族が暮らすには違いないんだから…。」 と理事長。 こう書くと、ずっと長く理事長を務めている専門家の理事長だろうと 思われるかもしれませんが、 そうじゃないんです。 この街の魅力にひかれて3年前に引っ越してきて、 いきなり抽選で理事になり、理事長になってしまったという若い理事長さんなんです。 誰もが理事を経験するというルールのもと、 各棟から未経験者の抽選で理事を決めるという基本1年任期の理事会を 理事経験者が、専門委員会や自治会活動の中で理事会を支え、 「同じ船に乗る仲間」の思想を受け継いでいるのです。 費用負担の考え方が複雑になり過ぎて その管理にエネルギーを使っているマンションに比べて、 この団地は、考え方がシンプルで、会計もシンプルで、 エネルギーを団地を住みやすくしていくことに集中できていて 結局、住民の満足度が高く、それが評価され市場価値も高いのです。 「公平」って何なのか? 「公平」という言葉だけが一人歩きして、 結果、全体の価値を高めることや住民の住み心地をよくすることにつながらない なんていうことがないように… と改めて思いました。


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