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修繕履歴情報の整理は管理会社の仕事?

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「管理委託契約に入っている」「いない」で管理組合と管理会社がもめるものに「修繕履歴情報の整理」があります。 ご存知の通り、平成16年の標準管理規約改正で、 「管理組合」の業務に「修繕等の履歴情報の整理及び管理等」が加わりました。 修繕履歴情報とは、管理組合で行った修繕工事の履歴、

すなわち、いつ、どこを(何を)、どのように修繕したか、どこに発注して金額はいくらだったかという記録です。 今、話題の「コミュニティ条項」と同時に加わったのですが、 管理規約を改正して「修繕履歴の整理、管理」が管理組合の業務となっても、修繕履歴を整理していないマンションも多いのが現状です。 では、管理会社の仕事かと言うと、 「修繕履歴情報の整理」は管理組合の業務にはなっても、 標準管理委託契約書の管理会社への委託業務には入っていませんので、 特別の取り決めがなければ、管理会社が当然に行う業務ではありません。 先日、あるフロントの方が、 理事長から、今週末の理事会に、 「過去の履歴情報を整理したものを持ってくるように」と突然言われ、 「大変な作業になり、とても完全なものはできない。 そもそも、修繕履歴の整理は管理委託契約には入っていない管理組合の業務なのに…。 高圧的でそんなことを聞くような理事長じゃないし、憂うつで。」 と。 過去の総会資料や発注書、工事の完了報告書がきちんと整理されていれば 時間を掛ければ調べることは難しいことではありませんが、 大規模修工事のように一時まとめて実施したものを 工事別に分け「どこを」に整理するには骨が折れますし、 管理組合が管理会社以外に発注したものは、仕様書がついた発注書や完了報告書が 管理組合の資料として残っていないものも多く、細かいものは追い切れません。 リプレイスで途中から管理を引きついだ場合は、よけい過去の記録が追いにくくなります。 修繕履歴もきちんとしたものを整理しようと思うとたいへん骨が折れるものです。 総会終了直後の管理組合が多いこの時期なので、 たぶん、新しく理事長になったばかりの方が、何でもマンションのことは把握しておきたいと思って 最初なので、フロントに対してもちょっと気負って命令調になっているのかな… と勝手に推測しますが。 私は、こういう管理組合側の言い方が、 管理会社に「管理委託契約には入っていない」を言わせてしまうのでは…と。 自分のこととして考えてみても、一週間の予定って、もう大体決まってますよね。 突然、どのくらい時間がかかるかわからない仕事を週末までにやれと言われるのは すごいストレスだろうな…と。 社内に、急な仕事を手伝ってくれと言える人もいないですよね。 理事長は、それに思いが至らないのか、 仕事をもらっているんだから、お客の注文に応えるのが当たり前と思っているのか、 そのくらい、すでに管理会社はも持っていて当たり前の持っているのか…。 フロントは、できないと言って責められるのも避けたいし、 宿題が完成せずに理事会に行って責められることを思うと憂うつで、 本来自分がやらなくてはいけない仕事じゃないのに…という 怒りの気持ちも収まらない。 そもそも、何のために必要で、どのくらいの精度のものを望んでいるかも分からず、 そこから考えなくてはなりません。 私は、いろいろ考えて、胃が痛くなっている前に、理事長に直接聞いた方がいいと思いますが、 聞くと怒りだすような理事長もいるので、それもできないのかな…と。 こういう仕事の依頼の仕方は、 結果として必要なものを得にくく、「できません」を引き出すような方法であまり感心しません。 まず、急に今週末持って来いというのは、相手にも都合があることを無視していて、 アサーティブじゃないですよね。 それに、何のために必要な資料で、どうして今度の理事会までに必要なのかも説明せずに、 ただ、命令的に「持って来い」と言われたのでは、 どんな資料を求められているのかわからず、必要以上のストレスになります。 もう少しアサーティブな(相手も尊重して自分の望みを素直に伝える) 言い方をすれば違うのにな…と。 たとえば、 (理事長) 「今期は長期修繕計画を見直すことになっているけど、 過去にどんな修繕をしたか、理事はみんなよくわかっていないから、 これまでの修繕履歴の情報を共有してから話し合った方がいいと思うんだけど、 一覧にした資料ってあるのかな~」 そう言われれば、フロントも普通に会話ができます。

(フロント) 「一覧になっているものは管理組合としては作っていないと思いますが、 過去の総会資料を追えば大まかな履歴はわかると思います。」 (理事長) 「そうか…。じゃあ、その大まかなものでいいので、悪いけど、ちょっとつくってもらえないかな」 (フロント) 「じゃあ、管理費から支出した細かいものは除いて 修繕積立金から支出したものを、年度と工事名と金額の一覧にするので いいですか?」 (理事長) 「うん、十分だよ。急なことで悪いけど、今度の理事会に間に合うとうれしいけど。」 (フロント) 「そうですか。それなら、じゃあ、がんばってみます。」 (理事長) 「悪いね、ありがとう。」 というコミュニケーションがなぜ取れないのかな…と。 何のために必要かが分かると、 無駄な作業をしなくてもすみますし、全体の仕事量が見えます。 で、今それがほしい理由に納得すれば、 何とかやれないかな…というように思います。 で、当たり前じゃなくて、「たいへんだとわかっているけど頼みたい」が伝わると 頼りにされているんだから、 フロントとしては、がんばってやろうという気持ちにもなります。 で、自分が納得してやると決めたら、仕事は前向きに効率よくできるのです。 なんでこんな仕事やらなくてはいけないんだ~と 思いながらやっているのと大違いです。 管理委託契約書に書いてなくとも、管理組合運営に必要なことであれば、 フロントはできる範囲では協力しようと思うものです。 しかし、本当に必要かどうかわからない資料まで過大に作成させる (そういう管理組合もありますので…) そういう対応が続くと、 「それはできません」「管理委託契約には入っていません」 と言って身を守るしかなくなってしまいます。 そんな不毛な応酬に時間を費やさずに、 どうしたら、仕事をしてもらえるかを考えましょう。 仕事は、目的をはっきりさせ、具体的なアウトプットの形を示して 相手がやりやすい分量に分けると格段にやりやすくなり、 「わかりました」という前向きの言葉を得やすくなります。 それは、会社の中でも同じはずです。 理事長の側もアウトプットのイメージがないまま指示している ケースも少なくないのかな~と。 だからコミュニケーションが大事なのです。 全部を指示しようと思わないで、 「こういうものがほしいんだけど、 どんなまとめ方ができるかな~、どのくらい時間がかかるかな~」 とフロントのコミュニケーションを取りながら進めることで、 結果、必要なものをフロントに作成してもらうことができます。 全体像が見え、時間の余裕があれば、他部署や協力業者に依頼して、 自分だけが抱え込まない方法をとることもできます。 で、自分の意見も取り入れてもらって話し合ったことは、 納得しているので、ストレスになりません。 コミュニケーションスキルの高い理事長は、 理事はもちろん、フロントや管理員も自分のプロジェクトの一員として、 相手も尊重しながら、いい仕事を引き出しているな~と思います。 理事長のコミュニケーション力はとても大事だといつも思います。 先週はフロント側の、今日は理事長側のアサーティブなコミュニケーションについて書きました。 これは、「べき論」でも、何が正しいかを言っているものでもありません。 よりスムーズに仕事が進むための考え方でありスキルだと思って頂ければ幸いです。 ですから、どちらから「アサーティブ」を実行してみてもいいんです。 必ずよい結果を引き寄せると思います。


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